当時の日本の態勢では、原発の近くは何カ所かあったが、離れたところは県に1カ所ずつしかモニタリングポストがなかった。そういう飛行機でモニタリングするなんていう態勢がない。モニタリングの責任は文科省が持っていたが、その意味では、米国の方がより生のデータを持っていた。だから、あるとき米国から日本は隠していると、これはマスコミからも言われたが、隠しているんじゃなくて、こちらが知らなかった。
まあ、そんなこともあったということで、今、再稼働とかいろんな動きが出ているが、じゃあその後、原子力安全保安院も変えて、今、原子力規制委員会とか、いろいろ体制を変えたが、じゃあこれでもう、大丈夫か、安心かと言ったら、全く安心ではない。
それから、じゃあこの事故はどうやったら防げたのか。実は今、いろんな裁判が行われているが、非常にはっきりしたことが1つだけ、例を挙げる。
海の側からこの福島第1を見ると、よく分かる。海から大体35メートルの絶壁になっていて、その上が高台になっている。これがもともとの地形だ。だから、35メートルの高台の上に原発をつくっていれば、20メートル近い津波も全く影響がなかった。
じゃあなぜ、影響したか。実は35メートルの高さのところを、海の側のある幅だけ、高さ10メートルのところまで土を切った。そして高さ10メートルのところに6基の原発を並べた。じゃあなぜ、そんなにわざわざ低くしたのか。結局、冷却に海の水を使うから、35メートルの高さだと、ポンプアップしなきゃいけない。それだけの電気代がかかる。電気代をけちったわけだ。