日本の銀行が手助け…中国人による東京の不動産買い加速 銀行マンからは嘆く声も (3/3ページ)

住宅ローンと短期市場金利
住宅ローンと短期市場金利【拡大】

 「こうなってみると、日本人として、これでよいのか、と悩みます」と打ち明ける銀行マンもいる。せっかく超低金利の住宅ローン恩恵が、預金者でもある一般の日本人に行き渡らずに、日本に住み、働くかどうか保証の限りではない中国からの新参客に回るのは、道義的にも問題がある。銀行の後押しで、不動産相場が高騰すると、デフレのために賃金が下がっている勤労者からはマイホームが遠のくだろう。

 グラフは、国内銀行の住宅ローン新規貸し出しの前年比増減額と短期市場金利の推移である。短期金利は日銀の政策金利を反映し、変動型の住宅ローン金利の目安になる。マイナス金利導入以降、住宅ローンはそれまでの低迷が嘘のようにジャンプした。住宅ローンは2014年4月の消費税増税の前には駆け込み需要を反映して増えたが、増税実施後は停滞を続けていた。日銀は最近の住宅ローンの増加をマイナス金利の成果だと自賛するが、甘すぎやしないか。 (産経新聞特別記者・田村秀男)