人民元国際化 「経済圏」構築、日本引き込む 外圧で金融改革 権力闘争激化も (2/5ページ)

中国人民元の現状
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 米ドルに挑戦状

 元のSDR構成通貨入りは、貿易量や通貨の取引自由度などからIMFが元に国際通貨との「お墨付き」を与えた形だ。それでも、報告書は、君臨する米ドル経済圏に対抗しうるパワーを元が得るまでは気を抜くなと警告したのだ。

 中国には「東南アジア諸国連合(ASEAN)や欧州などドル離れを起こす地域と『元経済圏』を構築し、いずれ日本もそこに引き込む」(上海の大学教授)との思惑がある。日本を含む米ドル経済圏に中国が改めて挑戦状を突き付けることになる。

 貿易や金融取引の大半で使われるドルを発行する米国は為替変動の影響が少なく、ドルを世界各国が外貨準備に取り入れることなどで、国際経済の中心的な役割をほぼ独占してきた。

 そのドルを追う元は急速に力をつけてきた。まだまだ安定感を欠く面もあるが、中国の貿易総額に占める元建て決済比率は30%になった。

 ただ、元を外貨準備に加えた国はまだ10カ国。貿易で元が使える直接取引が可能な国は16カ国。通貨を融通し合うスワップ協定を中国と結んだ国も33カ国に過ぎない。それでも英国やドイツなど欧州諸国の中には、ドルと元をてんびんにかける先進国も増えている。欧州や東南アジア、アフリカなどをチャイナマネーで引き付けながら、白と黒の石が繰り広げる囲碁のような戦いが、ドルと元との間の陣取り合戦で火花を散らし始めている。

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