政府は20日、高速増殖炉もんじゅ(福井県)の廃炉をめぐり、21日午後6時から原子力関係閣僚会議を開くと発表した。廃炉を含め、もんじゅの抜本的な在り方の見直しに関し政府方針を確認する。所管する文部科学省は昨年11月、原子力規制委員会から運営主体を変更するよう勧告を受け、現運営主体の日本原子力研究開発機構の関連部門を分離し、存続させる案を目指してきたが、政府内では費用対効果の観点から廃炉の方向が強まっている。
政府は、文科省による検討が遅れていることなどを考慮、26日から臨時国会が始まるのを控え、もんじゅ事業の抜本的な見直し方針の表明を急ぐ必要があると判断した。
関係閣僚会議には官房長官、文科相、経済産業相、外相、財務相、環境相らが出席する。もんじゅの最終的な取り扱いの方向性に関し、関係閣僚が合意する見通し。
文科省はもんじゅを再稼働させると少なくとも18年間で約5800億円の費用が必要と試算していたことも判明。文科省関係者によると、規制委の新規制基準に対応させるための施設の改造工事に約10年かかる。その後、起動前点検や性能試験などを経て、十分なデータを取るためには5~6年稼働させる必要があり、計18年間の費用を試算した。
改造工事に約1700億円、人件費に約810億円、点検や試験に約320億円のほか、年間の維持管理費を180億円として18年間で約3240億円かかる。発電した電気を売却する利益約250億円を差し引いて合計で約5800億円が必要と見込んでいる。
文科省はこうした試算を基に、首相官邸にもんじゅ存続案を伝えたが、受け入れられなかった。
政府はもんじゅを廃炉にする場合でも、高速炉研究や核燃料サイクル政策は維持する方針。
この日はもんじゅが立地する福井県敦賀市など「福井県原子力発電所所在市町協議会」が文科省などを訪れ、もんじゅ存続を要請した。