平成29年度予算の概算要求は、高齢化に伴う医療費などの増加を背景に3年連続で100兆円の大台を超えた。財務省は年末にかけての予算編成で5兆円程度を削りたい考えで、歳出の3割を占める社会保障費の絞り込みがカギとなる。ただ、保育の充実などをめぐる与党などの歳出圧力は強い。消費税増税再延期などで歳入が制約される中、財政再建への姿勢をどこまで強く示せるかが焦点だ。
厚生労働省は概算要求で高齢化の進展に伴う社会保障費の伸びを6400億円と想定する。政府は財政健全化計画で28~30年度の伸びを1・5兆円(年約5千億円)に抑える目安を掲げており、1400億円程度を圧縮する必要がある。
だが29年度は診療報酬など予算を大きく抑えられる改定作業がなく、目安を達成するのは容易ではない。
さらに、政府・与党の歳出圧力も強まっている。消費税増税が29年4月から2年半再延期されたにも関わらず、増税と同時に実施予定だった社会保障の充実策は、増税を待たずに実施するよう求める声が根強い。
政府は保育の受け皿を計50万人分拡大する運営費約1千億円の財源を社会保障効率化で賄う方針だが、本格調整はこれからだ。公明党が求める低所得者の介護保険料軽減などは、財源調整が難しそうだ。