英国の国民投票でEU離脱派が勝利したことを受け、日米欧の先進7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は24日夜、緊急の電話会談を開き、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に悪影響を与えることを再認識する」などとする声明を発表した。
麻生太郎財務相は電話会談後、財務省内で記者会見し、「為替市場の動向をこれまで以上に注視して、必要に応じて対応を行っていく」と述べ、為替介入の可能性を示唆した。
声明では「G7の中央銀行は市場に十分な流動性があることを担保し、市場の動きを支えるための措置を取った」と説明。G7は「引き続き市場の動向と金融の安定を緊密に協議し、適切に協力する」とした。
国民投票で離脱派が勝利したことについては「英国民によって示された意思を尊重する」としたうえで、「英国経済と金融セクターが強靱であるとの評価を確認している」とした。
国民投票の結果を受け、日本や欧州で株価が大きく下落したり、急速に円高やポンド安が進んだりするなど、世界の金融市場に動揺が広がっている。G7は声明で市場の不安を解消し、危機を回避する狙いがある。
為替市場の変動が無秩序とみなされれば、各国は協調介入に乗り出すことも視野に入れている。G7は2008年のリーマン・ショックでも緊急の共同声明を発表。平成23年の東日本大震災時には、急激な円高を防ぐために、協調して円売りの為替介入を行った経緯がある。