安倍晋三首相は26日の1億総活躍国民会議で、保育士と介護人材の処遇改善を平成29年度から実行すると表明した。5月に閣議決定する中長期施策「ニッポン1億総活躍プラン」に具体策を盛り込む方針だ。
首相は保育と介護の人材確保に向け「第一に処遇改善、第二に多様な人材の育成、高齢者の活用、第三に生産性向上を通じた労働負担軽減、やりがいを持って安心・快適に働ける環境の整備といった点について、財源を確保しつつ、29年度から実行する」と述べた。
1億総活躍プランでは、保育士の処遇に関し、消費税増税以外の財源で賄う予定になっている全体で2%相当の賃上げ(月額約6千円)を着実に実施。技能・経験を積んだ保育士には上積みし、女性の全職種平均との賃金差(5万円程度)をなくすようにする。
介護人材の処遇については、キャリアアップの仕組みを構築した介護事業者に税や保険料などを投入し、飲食店など対人サービス業の平均給与との賃金差(1万円程度)をなくす。
保育士と介護人材の処遇改善にはそれぞれ1千億円、計2千億円程度が新たに必要と見込んでおり、恒久制度とするため29年度以降、当初予算で財源を手当てする。社会保障費の伸びを抑制する財政健全化計画とは別枠とする方向だ。