米連邦準備制度理事会(FRB)は16~17日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。景気の過熱を防ぐため、ゼロ金利を解除して利上げを開始するとの見方もささやかれるが、新興国の成長を支えていた投資マネーが高い利回りを求めて米国に逆流し、世界的な株安に拍車を掛ける恐れもある。一方、日銀も14日、FOMCを意識しつつ2日間の日程で金融政策決定会合を始めた。
「米国の利上げでもたらされる原油安と円安ドル高は日本にとって追い風だ」
SMBC日興証券は、最近まとめた日本経済の見通しでこう解説した。
米国が利上げに踏み切れば「ユーロや円よりドル建てで資産を運用する方が有利」と意識され、ドルが買われやすくなる。また、金利が上昇すると原油などの商品市場で荒稼ぎをしていたヘッジファンドがお金を借りにくくなって投資を縮小し、原油価格はますます下がる。日本企業は資源を安く輸入でき、円安で海外事業の円換算収益が膨らむ-という理屈だ。
ただ、中国の景気不安が表面化し、同国と貿易量の多いアジア諸国の通貨や株式からの資金流出が強まっている。こうした中で米国が利上げすれば、「1997年のアジア通貨危機並みに新興国通貨が暴落する」との懸念も高まっている。