ウーバーの運転手のように、個人が自分の時間の都合に合わせて短時間のサービスを提供する経済活動を指す「オンデマンド・エコノミー」という言葉も浸透してきた。同様の仕組みは家事代行や食事の配達など、さまざまな業種に拡大している。
米紙ニューヨーク・タイムズは13日、トップクラスのビジネススクールの卒業生や弁護士にも、特定の企業に属さず仕事をする動きが出ていると指摘。「効率的で自由度の高い働き方がブームになっていることは疑いがない」と報じた。
ただしこうした潮流には異論もある。ウーバーでは、一部の運転手が「(会社側は)報酬や契約の打ち切りなどで強い権限を持っている。運転手を事実上の従業員として扱うべきだ」と主張。ウーバーに社会保障費や車の維持費の負担を求める訴訟も起きている。
大統領選で民主党からの候補指名を目指すヒラリー・クリントン前国務長官は13日の演説で、「オンデマンド・エコノミーは職場の保証や、良い仕事とはどのようなものかについて難しい問題を投げかけている」と懸念を示した。
一方、共和党のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、ウーバーが既存のタクシー業界との競争を生み出したことを高く評価。16日にはカリフォルニア州で自らウーバーに乗車するパフォーマンスをみせた。他の共和党候補も好意的で、若者に人気のウーバーに乗って支持層を広げる思惑もあるとみられている。
米紙ワシントン・ポストは20日付の社説で、「ウーバーへの態度は各候補者の未来の職場や規制のあり方についての立場を示す指標になっている」との見方を示した。