全国820万戸に上る空き家対策の特別措置法が26日、全面施行された。市町村が防犯・防災面などで問題がある「特定空き家」について撤去や修繕を勧告・命令できるほか、強制撤去も可能となる。これに合わせて国土交通省は同日、市町村が特定空き家かどうかを判断する基準を公表。外壁・屋根の損傷が大きい家屋やいわゆる“ごみ屋敷”が該当するとした。
「利用できる空き家は利用し、除却(撤去)すべきものは除却する、という2点が中心。市町村の取り組みを応援していく」
空き家特措法の全面施行を受け、太田昭宏国交相は同日の閣議後記者会見でこう述べた。
空き家は今や社会問題だ。住宅の供給過多と人口減少を背景に全国的に増加し、その数は20年前の約1.8倍。全住宅の7軒に1軒が空き家だ。とりわけ賃貸・売却用、別荘などを除く長期間放置された空き家は318万戸に上る。こうした空き家は使用目的もなく老朽化しており、防犯、防災、景観などの面でリスクが高いとされる。
危険な空き家をめぐっては400を超える市町村(東京23区含む)が所有者に適正な管理を促す独自の条例を定め、強制撤去の規定を設けている例もある。
この日示された特定空き家の判断基準は、(1)建物が傾いていたり屋根や外壁が落ち、倒壊の恐れがある(2)ごみが放置され、衛生上有害となる恐れがある(3)多くの窓ガラスが割れたままになるなど著しく景観を損なっている(4)庭の木の枝が道路にはみ出すなど周辺の生活環境に悪影響がある-などを挙げている。