韓国側が神経質になる背景には、中国の存在がある。THAADには、迎撃ミサイルとともに、敵のミサイル発射を早期探知する高性能レーダー(Xバンドレーダー)の配備も必要となる。同レーダーの探知距離は1000キロを超え、4000キロ先が探知可能とも報じられている。つまり北朝鮮のみならず、中国国内のミサイル基地の動向までも“丸裸”にされるのだ。
韓国紙、中央日報によれば、昨年7月の中韓首脳会談で、習近平国家主席が朴大統領に「韓国は主権国家の当然の権利を行使し、(米国に)反対意思を表明してほしい」といった趣旨の要請をしたという。今月4日の中韓国防相会談でも、中国の常万全国防相がTHAADについて「憂慮」を表明した。
THAADの韓国配備に関しては、ロシア外務省も懸念を示している。
朴大統領は2013年2月の政権発足後、冷却化する対日関係とは対照的に、対中関係の強化を進めてきた。中国は韓国にとって最大の貿易相手国であり、昨年11月には中韓自由貿易協定(FTA)で実質合意、韓国経済の対中依存度は今後さらに高まっていく。