農林水産省は13日、農政の中長期的な指針となる「食料・農業・農村基本計画」の骨子案をまとめた。カロリーベースで50%を目指す現在の食料自給率目標を見直し、実現可能性を考慮した設定に引き下げる。また、潜在的な食料生産能力を示す「食料自給力」を新たな指標として提示する方針。3月中に数値目標などを決め、基本計画をまとめる。政府は新たな指標に基づき、食糧安全保障の確立に向けた施策を講じる。(11面に関連記事)
農水省は、平成22年に策定された基本計画に対し「総合食料自給率は約40%で推移しており、(現行)目標から乖(かい)離(り)している」と判断した。新たな自給率目標は、食品廃棄など消費に関する問題や、農地集約など農業生産の課題を考慮する。目標値は「各課題が解決された場合に実現可能な生産水準」に設定する。
新たな指標となる食料自給力は、輸入が途絶えた際に、国内でどれだけ食料を自給できるかを示す「潜在生産能力」と定義した。国内農地などを最大限に活用し、生命と健康を維持するための供給可能なカロリーを試算して数値化する。
政府は自給率目標の引き下げにより、補助金頼みの農業からの脱却を目指す。
同基本計画は10年程度を対象とし、約5年ごとに見直すことが法律で決まっている。民主党政権が策定した現行の基本計画は、コメの生産調整(減反)に参加した農家に対し、10アール当たり1万5千円を支給する定額補助金の導入などを盛り込んだ。