安倍晋三内閣が推進してきた大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」からなる経済政策の下、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、個人消費などの弱さや、地域ごとに景気回復にばらつきが見られ、平成26年7~9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は年率換算でマイナス1.9%と2四半期連続でマイナスとなった。こうした足元の景気の状況に対応するため、昨年12月27日、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を閣議決定した。
本対策は、地域の実情に配慮しつつ消費を喚起すること、地方が直面する構造的な課題への取り組みを通じて地方の活性化を促すこと、災害復旧などの緊急対応や復興の加速化-に重点を置いている。
26年度補正予算には、本対策を実施するため「生活者への支援など」に1兆1854億円、「地方の活性化」に5783億円、「災害・危機などへの対応」に7578億円を計上した。その財源は既定経費1兆7880億円を減額するほか、税収1兆7250億円、税外収入1148億円の増収を見込む。必要な事業に要する財源を超える部分の7571億円は、財政健全化の観点から公債金の減額に充てる。この結果、26年度一般会計予算総額は当初予算から3兆1180億円増の99兆3億円となる。長引くデフレ不況からの脱却を確かなものとし、経済の好循環をさらに拡大するためには、本補正予算の一刻も早い成立が必要だ。