2014.3.16 11:35
1ビットコインのドルの推移【拡大】
電子空間で創造される「ビットコイン」。その本質は史上空前の無国籍通貨である。ビットコインは金(きん)並みの希少価値があると思わせるうえに、保有者は身元を知られずに、安いコストで瞬時に資産を国外に移す手段になるのだから、自国通貨に信用が置けない国民にとってはまさに最後のよりどころとなる。当然、最大の攻防の場はバブル不安の中国となる。
ビットコインは2009年、「サトシ・ナカモト」と名乗る人物のインターネット論文の賛同者によって開発され、10年7月からインターネット上で各国通貨との取引が始まった。ビットコインの入手(「採掘」と呼ばれる)は複数のコンピューターを駆使してきわめて複雑で高度な数式を解くことが条件となる。総量は限られ、採掘者が多くなればなるほど、入手量(供給)は少なくなる。利用者(需要)が増えるに従って相場が上昇する仕掛けだ。
最近ではビットコイン専用の現金自動預払機(ATM)も登場し始めた。ビットコインでの支払いを受け付けるレストランや商店も世界各地でぼつぼつ増えている。それでも、通貨としての使い勝手はいまいちだ。モノを買ったり、一般の人の手から手へと流通するには限度があるし、そのままでは国債や株式にも投資できないし、融資も受けられない。