ビットコインは、国境をまたいで瞬時に送金できる利便性や政府に関与されない金融商品として話題を集めてきた。だが、根幹に技術的な問題があるとの指摘もある。取引停止の混乱をきっかけに、根本的な信頼性が崩れれば一時的なブームで終わる可能性もある。
「問題は単に取引所が停止したことではなく、技術的な対抗策が示されなかったことだ」。ビットコインに詳しいブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志・通貨ストラテジストはこう分析する。
発端は今月7日。マウントゴックスが突然、ビットコインの引き出し業務を停止するトラブルを起こした。当時の説明は「換金注文増に対するシステム障害」。復旧作業を急ぐとの説明だったが、その後電話やメールでの問い合わせにも応じなくなり、取引停止に至った。
どんな問題があったのか真相は不明だが、一部ではマウントゴックスが取り扱う74万4000以上のビットコインが盗まれたとの情報もある。11日にはブルガリアとスロベニアの取引所がサイバー攻撃を受けたとして交換業務を一時停止するトラブルも起こった。
公的な裏付けがないネット上の暗号通貨が通貨として成立するには、情報が高度な技術で守られていることが大前提だ。しかし、今回の取引停止に際しビットコイン財団や、取引を管理するボランティア団体などは現時点で技術問題への対策を示せていない。このままでは決済や投資対象としての普及は難しくなりそうだ。