政府税制調査会は13日に開く総会から法人税改革に向けた議論を本格化する。新たに検討グループを設け税率を引き下げた場合の経済活性化効果や税収影響を幅広く検証する。ただ実効税率1%の引き下げで約5000億円にのぼる税収減を補うのは容易でない。企業の優遇税制の縮小・廃止などでどう「穴埋め」策を示せるかが法人税改革に向けた大きな焦点になりそうだ。
「課税範囲の拡大も含めて幅広く議論する」。政府税調の中里実会長(東大教授)は、産経新聞の取材にこう述べ、特定業界を優遇する租税特別措置の見直しなど、課税範囲の拡大を含めて法人税改革を幅広く議論する方針を示す。
日本の国・地方の法人実効税率は35%半ばだが、財務省ではアジア諸国並みの25%程度まで下げると、約5兆円の税収減になると試算する。5兆円は国の税収の1割に当たるだけに、それに代わる財源を見つけられるかが改革の焦点だ。
そこで、税収減を穴埋めするために浮上したのが法人税に対する減税項目の見直しだ。国税庁の調査によると平成23年度の法人税額は8・7兆円だった。一方、これとは別に主要項目だけで約4・2兆円が減税されている。その中でもテーマ化が確実なのは年9000億円に及ぶ租税特別措置の廃止・縮小だ。この措置の見直しについては、13日に新設される法人税の検討グループ座長に就く大田弘子元経済財政担当相が、昨年12月の総会で、「租税特別措置を廃止するのが産業の新陳代謝につながる」として、改革への意欲を示している。