増税分が上乗せされる2014年度、2015年度以降、2023年度までの税収が試算されたが、「今後10年間の経済成長率平均が名目3%、実質2%であっても、国・地方の基礎的財政収支(税収・税外収入と国債費を除く歳出の収支)は2020年度でもGDP(国内総生産)比で2%の赤字となり、目標とする黒字化を達成できない」という。これは詐術(人をだます手段)である。
カギは基点となる今年度の一般会計税収にある。「試算」では43・1兆円と、なんと2012年度の実績である43・9兆円より減っているのだ。
現実には景気の好転で、税収は法人税収を中心に大きく伸び続けている。ところが、首相のお膝元の内閣府がアベノミクス効果を完全無視し、2013年度予算の税収見込みをそのまま受け入れ、財務官僚の意に従った。この試算の“ウソ”は、筆者が安倍首相周辺の専門家たちに指摘したところ「気づかなかった。まさか、そこまでやるとは」とあきれていた。「税収は名目経済成長率の2・5倍ないし3倍くらいの速度で増える」というのが民間シンクタンクの間では常識である。