従来の特区は地方自治体などからの提案を受けて、各省庁が審査するため「省庁側が嫌がる規制緩和や税制優遇措置は認定されにくい」(政府関係者)という弊害があった。これに対し、国家戦略特区は首相が政治主導で特区を認定するため、政権の経済政策を反映させやすい。
現時点で同特区の具体例として挙がるのは、容積率の緩和のほか、(1)国際的に高い法人税の大幅な引き下げ(2)都営交通の24時間運行(3)カジノを含む大型リゾートの導入(4)外国人医師の受け入れ(5)海外トップクラスの学校誘致-など。
これらは企業の負担を軽減するとともに、都市の利便性や魅力、外国人の生活環境の向上につながる。外国企業の進出が進めば、雇用が増えて消費が喚起され、景気も押し上げられる。
日本の対内直接投資は国内総生産(GDP)の4%弱と、約20%の米国や約50%の英国だけでなく、10%強の中国や韓国にも大きく見劣りするだけに、新特区導入を機に拡大を狙う。