“伝書鳩”使った中国の失敗 子供だましの「会わない作戦」 (3/3ページ)

2013.4.26 11:52

鳩山由紀夫元首相

鳩山由紀夫元首相【拡大】

 もう一つ、政府高官が「中国の失敗だった」と指摘する問題がある。それは、中国の主張を代弁させるメッセンジャー役に、よりによって鳩山由紀夫元首相を使ったことだ。

 「おかげさまで、首相を辞めた後も海外でさまざまな活動をできている。この財産を国益に資するように使わせていただきたい」

 昨年11月の引退記者会見でこう述べた鳩山氏を、中国は今年1月、手ぐすね引いて招聘(しょうへい)し、中国側の意向に沿った「尖閣は係争地」との言葉を引き出した。史実に反する展示が目立つ南京大虐殺記念館では、改めて謝罪もさせた。一見、中国外交の勝利に思える。

 だが、日本国民はしらけていた。在任中に「国というものが何だかよく分からない」と述べていた鳩山氏が、今さら日本の国益を理解できる道理がない。

 「あの鳩山氏がそういうのだから、きっと違う」

 多くの人はこうも直感したはずだ。もう誰もはなも引っかけない鳩山氏を厚遇し、その言動を評価してみせたことで、中国はかえって底意を見透かされたのである。(政治部編集委員)

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