ちなみにロサンゼルス・タイムズ紙によると、もともと広告会社だったDMGは創業19年の新興企業ですが、中国建国60周年と中国共産党の創設90周年を記念したプロパガンダ映画の製作援助や宣伝を担当したことで、中国の国営映画製作・配給会社「中国電影集団」と太いパイプを築き、大きな発展を遂げました。
つまり「中国電影集団」と深く関わるDMGが製作者に名を連ねる「アイアンマン3」は検閲を受けないどころか、中国政府の後ろ盾まで得て、中国全土でじゃんじゃん公開されるというわけです。公開から1分で上映禁止となった「ジャンゴ」とは天地の差です。
今回の「アイアンマン3」、中国市場への本格進出を狙うハリウッドが編み出した“検閲破り”のための究極の奇策ともいえそうですが、個人的には中国に媚びを売り過ぎだと思います。こんなことばかりしていては、今後、ハリウッドはますます中国に頭が上がらなくなるでしょう…。(岡田敏一)
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【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部などを経て現在、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。京都市在住。