株高で高額品の需要は持ち直しつつあるものの、節約志向は根強く、スーパー各社が売り上げを伸ばすには、値下げで「お得感」を打ち出すほか手がないのが実情だ。
こうした中、さらに消費を冷やしかねないのが消費税率の引き上げだ。2014年4月には8%、15年10月には10%に引き上げられる。消費増税となれば、一般家庭の日常商品に対する節約意識はさらに高まる。その中で、小売業界は還元セールに期待していた。
消費税が1997年に現行の5%に引き上げられた際に行われた還元セールは消費の爆発的な喚起につながった。10年秋にイトーヨーカ堂が「5%還元」セールを実施すると、ダイエーなどが追随。セール期間中に、買い物1万円ごとに500円の商品券を配布するなど、あの手この手の施策を打ち出し、庶民の負担感を軽減した販促策が奏功して、売上高は大幅に伸びた。小売業界はこうした成功体験を踏まえ「セールがやりづらくなれば、消費も萎縮しかねない」(井上理事)と警戒する。