日本のラーメンやカレーのチェーンが海外展開している。ラーメンは中国にそれなりの店舗数を出しているが、インドにカレー店を出しているのではない。日本式の西洋スイーツやパンなども出始めている。個人経営は別として、西洋スイーツのチェーンがパリに店を出しているのではない。多くはアジア圏である。
だからダメと言うのか?
そんなことはない。本場発祥の地で勝たないと意味がないのか?という問いにNOとはっきりと答えられることがビジネスでは必要だ。本家本元で成功しないと本物とは言えない、という縛りから解放されることだ。
スターバックスはイタリアのカフェをシアトルから発信し世界に広まったが、イタリアには一店舗もない。しかしスターバックスを「成功していない」という人はいない。だから「なんちゃって和食」に寛容になっていいのだ。
もちろん本場で勝ちたいとの志はいつまでも持ちたい。フランス人が行列を作ってでも買って欲しいと思うスイーツを提供したい、という夢は捨てない方がいい。
しかし、まずは「なんちゃって外国食」を海外にもっと普及させ、各国に何十店舗も展開しているフランスや英国の寿司チェーンを「敵ながらアッパレ」と褒め称えようではないか。それが順序というものだ。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場をモノのローカリゼーションレベルから理解するアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だ。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。今年は素材ビジネスやローカリゼーションマップのワークショップに注力。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih