政府税調、給与所得控除を見直し 労働形態問わない税体系移行へ
政府税制調査会は25日、所得税の抜本改革に向け、税負担を軽くする控除制度の在り方を議論した。日本では「給与所得控除」など所得の種類ごとに負担を手厚く軽減する体系だが、働き方の違いで税制が不公平にならないよう見直すべきだとの声が相次いだ。誰でも受けられる「基礎控除」などが控除の主体となる体系へ中期的な移行が有力視されている。
政府税調は2017年度税制改正の目玉の配偶者控除の見直しとともに、所得税改革の全体像について11月に示したい考えだ。
給与所得控除は、会社員が「みなし経費」として給与収入から収入に応じ65万~230万円を差し引ける仕組み。年収500万円の会社員で控除額は154万円だ。だが、欧米ではこうした控除はほぼなく、導入するドイツも控除額は約13万円で、日本は世界的に過大とされる。
自営業は給与所得控除はないが必要経費を収入から差し引いて税負担を軽減できる。だが、さほど経費を引けない建築技術者や保険外交員ら雇用形態に近い個人事業主の割合が自営業の3割近くまで増加しており不公平感が生じている。同日の政府税調では「給与所得控除を廃止・縮小し、働き方に中立な控除に再編すべきだ」との声も出た。
このほか、年金受給者に適用される「公的年金等控除」は給与所得控除よりさらに手厚い。日本は所得の種類ごとに税負担を大きく軽減しているが、先進諸国では家族構成や所得水準に応じ適用する控除が負担軽減の主体になっている。
日本でも中期的には会社員や自営業者など働き方によらずに、全ての納税者が適用を受けられる「基礎控除」を拡大するなど、納税者の事情に応じた控除を所得税の負担調整の主軸とすることを検討していく。
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