豊洲市場の汚染対策、都の説明と食い違い 盛り土を一部実施せず
東京都の築地市場(中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)で、都が土壌汚染対策として説明していた4・5メートルの盛り土が売り場棟下の地盤では実施されていなかったことが9日、分かった。
都幹部が明らかにした。都側は建物の構造上、技術的な理由から盛り土をしなかったとし、安全上の問題はないとしているが、実態とは違った土壌汚染対策の説明をしていたことになる。「安全性への懸念」を理由に、移転延期を決めた小池百合子知事も同様の事実を把握し、調査に乗り出すもようだ。
豊洲市場は東京ガスの工場跡地に整備。ベンゼンなどの有害物質による土壌や地下水の汚染が確認されたため、都は専門家会議を設置し、平成23年8月から約850億円かけて土壌汚染対策を実施した。敷地内の表土を約2メートル削って汚染を除去した上で、きれいな土を搬入し、4・5メートル分の盛り土を行うとしていた。
都は都議会に対しても27年3月の経済・港湾委員会などで、こうした対策を実施したことを挙げ「豊洲新市場用地の安全性が確認できた」と答弁。ホームページでも同様の説明を行い、安全性を強調してきた。
だが、都幹部によると水産物を扱う「売り場棟」などの建築設計を行う際、配管などを通すため床下に数メートルほどの空間を設ける必要が生じたため、売り場棟の下については盛り土を行わず、土壌を除去しただけで建設したという。
都幹部は売り場棟の下にはコンクリート層を設けるなどしており、安全上の問題はないとしているが、「食の安全」を掲げる小池氏の移転判断に影響を与える可能性もある。
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