安倍首相、配偶者控除見直し指示 中立的税制で女性就労促進

 

 政府税制調査会(首相の諮問機関)は9日、首相官邸で総会を開き、専業主婦世帯などの所得税負担を軽くする「配偶者控除」を見直す検討に着手した。安倍晋三首相は総会で具体化に向けた議論を指示。政府税調は11月をめどに見解を取りまとめる方向だ。

 安倍首相は「女性が就業調整を意識せずに働くことができるようにするなど、多様な働き方に中立的な仕組みをつくっていく必要がある」と述べた。政権の最重要課題である「働き方改革」と連動させ、女性の就労促進を狙う。

 配偶者控除は妻の年収が103万円以下なら夫の課税所得から38万円を差し引ける仕組み。主に専業主婦世帯を優遇する税制が女性の働き方をゆがめ、経済成長を阻害しているとの問題意識がある。共働き世帯や非正規社員の夫の増加など多様化する生活実態に合った税制の再構築を急ぐ。

 配偶者控除は、夫婦であれば収入にかかわらず夫の税額から一定額を差し引く「夫婦控除」に見直す案が有力視される。税収減にならないよう夫の年収が一定額以上の世帯は対象から外すことなどを検討するが、所得が高い専業主婦世帯の税負担は増す見通しで、与党内には慎重論もある。