成長戦略 主力はIT人材育成 政府、「4次産業革命」など数値目標

 
産業競争力会議であいさつする安倍晋三首相(右から2人目)=19日午後、首相官邸

 政府は19日、産業競争力会議を開き、5月にまとめる成長戦略の概要を公表した。日本経済のIT化を支える人材の育成・確保が主眼で、小中学校でのプログラミング学習の必修化や、専門知識を持つ外国人の永住権取得の条件緩和を盛り込んだ。また、「第4次産業革命」など10の戦略分野を掲げ、2020年ごろの名目国内総生産(GDP)600兆円達成に向けた取り組みを加速するとした。

 安倍晋三首相は会議で「成長戦略が挑戦するのは、有望成長市場の開拓、生産性革命、人材強化だ」と述べた。

 政府は、少子化が進む日本経済の生産性を高めて成長力を底上げするため、ビッグデータ、人工知能(AI)などの先端技術を活用できる人材の強化を新たな課題と位置づけた。

 プログラミング学習は20年度から義務づける。小学生は作画、中学生はホームページ作成程度のレベルを想定する。各生徒が習熟度に応じて学べるIT教材の活用なども盛り込んだ。

 外国人の永住権緩和は、ITなどの専門知識や技術を持つ「高度人材」に対し、永住権の申請が可能になる国内の在留期間を短くする。現在、特例で5年となっているが、3年未満まで縮めることを想定している。

 GDP600兆円へ向け有望市場を創出するため、自動運転やドローンなどの技術を挙げながら、「第4次産業革命」「健康立国」といった分野を強化するとし、数値目標を定めた。

 「生産性革命」実現のための行政手続きの簡素化・IT化や、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を契機とした海外市場の取り込みなども明記した。