ドローン専門測量チーム 国土地理院、被災地緊急撮影も
国土地理院(茨城県つくば市)が、小型無人機ドローンを使った測量に精通した専門チームを結成した。平時は道路建設や街づくりといった公共測量の指導や助言を行い、災害時には被災地に出向いて緊急撮影を担う。全国で活動できるように、2年以内に100人規模に育て、全国の地方測量部と支所計10カ所に広げる予定だ。
陸地の測量をつかさどる機関がドローンを鳥のように飛ばす-。そんなイメージからチームは「国土地理院ランドバード」と名付けられた。昨年10月から立ち上げの準備を始め、3月に正式に発足した。独自の操縦ライセンス制度も整備、講習会や研修を通じて職員を養成する。
緊急時には、出動チームを編成して撮影に臨み、関係機関へ動画や静止画を提供する。地理院のホームページにも公開し、被災状況をいち早く伝える。自治体などの要請を受けて出動するケースも想定している。
平時は、公共事業で道路や市町村の都市計画をつくる際の測量を担う会社に、適切なドローンを使った測量ができるように指導や助言をする。
従来は有人飛行機を使っていたが、ドローンは小回りが利くため、狭い範囲での作業も可能になる。測量に必要な最低限の機能を持つものであれば、1機当たり20万円前後と比較的安価で済む利点もある。
地理院が運用に着手した背景には、2014年8月の広島市の土砂災害で、地元業者がドローンで現場を撮影し状況把握に役立てた経験がある。同10月から適切な運用に向けた検討を始め、災害で撮影できる態勢が整った昨年9月に関東・東北豪雨が発生。ドローンによる空撮に挑み、鬼怒川の堤防が決壊した直後の現場を捉えるのに成功した。
ランドバード事務局の中村孝之事務局長補佐は「災害が起きても速やかに対応できるようにしっかり訓練していきたい」と意気込んでいる。
関連記事