不妊治療保険、月内にも解禁 公的助成と合わせ「出生率1.8」目指す

 

 金融庁が、高額な不妊治療にかかる費用を保障する保険商品の販売を早ければ3月中に解禁することが14日、分かった。晩婚化で初産年齢が高まり不妊治療を希望するケースも増えるなか、保険会社に対応商品の販売を認め、治療時の負担軽減につなげる狙いだ。

 金融庁は3月上旬、関連する保険業法の施行規則の改正案に対する一般の意見受け付けを終了しており、販売解禁は遅くとも4月中には実施される見通しだ。

 体外受精や手術による精子の採取などの不妊治療には、現在少なくとも1回30万円程度かかるケースが多い。だが基本的に公的医療保険が適用されないため、負担の重さから治療を諦める例も少なくないという。

 今回の不妊治療保険の解禁方針を受け、生命保険各社は、商品設計の検討に入る。病気の治療に備える医療保険の特約として扱い、加入後に不妊症と判明すれば保険金を支払う形態などが想定されている。

 ただ同保険の扱いをめぐっては生保各社から期待と懸念の声が出ている。顧客との接点が増えるとする意見がある半面、受診医療機関ごとに治療方法の判断基準が異なるなどの課題もあり、制度設計に時間がかかるとの見方があるためだ。

 それでも金融庁が解禁に乗り出すのは、安倍晋三政権が人口減問題への対処に向け「希望出生率1.8」を打ち出し、不妊治療対策をはじめ出産支援の拡充に乗り出したためだ。

 政府は、既に不妊治療に関する負担軽減策に着手。今年1月には、厚生労働省が助成を拡充した。

 具体的には体外受精などに対する初回の助成額の上限を30万円に倍増。さらに、新たに男性が精子を採取する手術を受けた場合に1回15万円を上限に助成することにした。支援の枠組みは着実に整いつつある。