「日本保有の核物質は弾頭1000発超に相当」 中国大使が国連で非難

 

 【ニューヨーク=黒沢潤】中国の傅聡軍縮大使は20日、国連総会第1委員会(軍縮)で演説し、日本の核物質蓄積と日本国内における「核武装論」を批判した。日本側が反論すると傅大使も再反論を行い、非難の応酬となった。

 傅大使は、日本が保有する核物質は核弾頭千発以上に相当すると指摘。「核セキュリティーと核拡散の観点から深刻なリスクを生んでいる。所有量は正当な必要量をはるかに超えている」と批判した。

 また、日本の原発再稼働と使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)計画は「世界を安心させるのではなく事態を悪化させる行動だ」と述べたほか、「日本が国際社会で影響力を発揮できる力を持ちたいのなら、核兵器を保有すべきだと日本の一部の政治勢力が主張し、核兵器開発を要求している」と強調した。

 日本の佐野利男軍縮大使は答弁権を行使し、プルトニウムや濃縮ウランなどの核物質は「平和的に利用されると国際原子力機関(IAEA)が結論付けている」などと指摘した。

 すると、傅大使も答弁権を行使し、日本で核武装論を展開しているのは「著名な政治家」だと力説。政策決定があれば、日本はごく短期間で核武装国家になるとし、「世界はこのことを肝に銘じ、注意を払うべきだ」と述べた。

 また、中国の核兵器については「国防に必要な最小レベル」と正当化し、「核兵器廃棄を通じて(核兵器の)完全禁止という究極の目標実現に向け、努力を続ける用意がある」と持論を展開した。

 菅(すが)義偉(よしひで)官房長官は21日、「日本は国際的な指針よりも詳細な情報を公表するなど、核物質の透明性を適切に確保している」などとし、中国の主張は全く当たらないとの立場を示した。