環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を受けて、お隣の韓国が神経をとがらせ始めた。韓国は、TPP交渉には不参加で、このままでは域内の関税の引き下げによるメリットを受けられず、厳しい経済環境に置かれる恐れがあるためだ。世論に押されるように韓国政府はTPP参加検討の意向を表明したが、12カ国による喧々がくがくの議論の末になし得た大筋合意の直後だけに、タダ乗り同然の行為にも映る。そもそも韓国はなぜ、日米を中心としたTPP交渉の参加をためらってしまったのか。その大きなツケはいま回ってきた。
「同盟」築くTPP
TPP交渉の大筋合意後の韓国では、TPP参加を促す意見が相次いだ。
「中国のような国に世界経済の秩序を書かせない」との交渉合意後のオバマ米大統領の強烈なメッセージから、TPPが単なる自由貿易協定の枠組みではなく、米国を中心とする経済上の「安全保障同盟」である位置付けが、はっきりしたからだ。
「環太平洋経済同盟の落伍者にないかねない」
朝鮮日報(日本語電子版)は、大学有識者の声を引用し、孤立化への懸念が出ていることを伝えた。さらに同紙は社説で「日米が手を握り、中国の影響力拡大に対抗するという政治的・地政学的な意味もある」と指摘。TPPへの参加を急がせた。