訪英中の習近平氏、演説で「抗日」「日本の残虐性」強調 晩餐会でも繰り返す

 

 【ロンドン=内藤泰朗】英国を訪問している中国の習近平国家主席は20日、中国首脳としては初めて上下両院で演説し、第二次大戦ではともに「日本の侵略」に抗して戦ったと指摘。次いで開かれた公式晩餐会のあいさつでも、大戦中の「日本の残虐性」を改めて強調し、中国の抗日史観を繰り返し披露した。

 習氏はまず、上下両院の演説で「今回の訪問が両国関係を新たな段階に引き上げることになるだろう」と言明。第二次大戦に関しては、英国が軍備や医薬品などを提供して「抗日戦争に協力した」ことなどを挙げ、「中英友好と世界正義に尽力した人たちの歴史は、忘れられることはない」と強調した。

 11分間弱の演説で、英中両国以外で取り上げられた国は日本だけだった。

 このほか習氏は、中国には2000年前から法的な憲章があったことを持ち出し、英国による民主主義の講義は受け付けないとの強い姿勢を示した。

 英紙の報道によると、習氏はこの後、エリザベス女王主催の公式晩餐会に列席した際にも、わずか数分のあいさつの中で、再び第二次大戦の話を持ち出した。「日本の残虐性」について報じた英国人ジャーナリストをあえて取り上げ、両国の国民は第二次大戦で「正義のために助け合い、ともに戦った」と繰り返し強調した。

 一方、中国の人権問題に批判的とされるチャールズ皇太子は、公式晩餐会を欠席した。