さらに今回のダイニングアウトのもう一つのテーマは、当地の岩山にインスパイアされた「ロックサンクチュアリ」。その「岩」をイメージした料理も見事に尽きるものだった。
実はテーブルに無造作に置かれた自然の岩石がずっと気になっていたが、「爆米炸泥鰌」という料理が出てきて謎が解けた。紹興酒の香りをまとった泥鰌のおこげ揚げだが、器は文殊仙寺の境内の石を焼いたものだったのだ。前出の「岩香蒸山海」も熱した国東の岩と中国の岩茶で蒸し上げたものだ。
ディナーを盛り上げるもう一つの趣向が、それぞれの料理に合わせたアルコール。たとえば「国東開胃菜」は、小ぶりで味わい深い国東のオイスターを汁のジュレと合わせ、日本と中国の30年物の古酒の香りをプラス。そこにペアリングでも上海の老酒と「西の関」の古酒を出すといった具合だ。
ディナーの締めくくりは、川田シェフが修業時代から作り続けるデザート、「爽口凍青梅」と温かい杏仁豆腐。初夏にぴったりの爽やかな味わい、そして杏仁豆腐のふくよかな甘みが、見事なコントラストだった。
挨拶に立った川田シェフが「和魂漢才を追い求める自分。その求めたものがここにあった」と興奮した面持ちで話すと、満座の拍手がそれに応えた。
夢のような時間はあっという間。余韻と感激に浸ったまま、ゲストは山門を後に。静謐な世界が再び山々に戻ってきた。
◆地域を元気にしたい、その思いが共感を呼ぶ
5月26日、27日に開催された『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』。ダイニングアウトとしては13回目を数え、さらに深化した。
地域活性化も目的の一つに掲げるONESTORYのダイニングアウトは、地元をはじめ各方面の協力に支えられる事業だ。