それでいて車高は低いので、車窓からの景色はいつもと少し違って見え、いい意味でオモチャのクルマを公道で走らせているかのような楽しさがある。
CVTの走りは4輪のスクーターのよう
変速装置は無段変速のCVT。シフトレバーをDモードに入れて走らせると、エンジン回転数があまり上昇しないままシフトチェンジせずにスピードが上がっていくCVT独特の加速感。言ってみれば4輪のスクーターである。難しく考えずイージーに転がすにはいいけれど、個人的にCVTの加速はリニア感に乏しくどうもしっくりこない。エンジン音の高まりと、実際の加速感がシンクロしない気がして、走っていてモヤモヤしてしまうのだ。
シフトレバーをDレンジから右に倒しSモードに入れると、高回転型シフトプログラムに切り替わってアクセルレスポンスも鋭くなる。追い越し加速や急な上り坂など、一時的にパワーが必要な場面で使うと効果的だ。一般道を流している時でも、要所でSモードをうまく使うと、軽の非力さを感じずに済むだろう。とは言え、高回転維持になるだけでシフトチェンジがないので、こちらもリニアには感じない。
これが同じクルマ? マニュアルモードで豹変
やっぱりCVTはしびれないんだよなぁ、なんて考えつつワインディングの芦有ドライブウェイに到着。ここでSから前後にレバーを動かして7速マニュアルモードを試す。
正直あまり期待していなかったのだが、これがなかなか。当たり前だが、ちゃんとロックアップして、レスポンスよく吹け上がり、低速シフトではエンジンブレーキも効くし、本物のマニュアルでなくても十分楽しめるではないか。できればパドルシフトが欲しいところだが、フロアシフトのレバーも節度感があり、思いのほか感触がメカニカルで悪くない。さっきまで無段変速で走っていたのと同じクルマとは思えない変貌ぶりだ。
高回転域ではターボの過給音もキーンと派手に重なり、スポーツカーそのもの。
オープンでもボディ剛性は高く、山坂道のハイスピードコーナーでもよじれるような感じはない。そのうえ、低重心らしく4輪がしっかり踏ん張る。前輪駆動ながらアンダーステアが抑えられ、回頭性もいい。もともと回転半径が小さいし、ちょこまか走るのが得意なのはS660やアルト ワークスと同じで、山坂道が実に楽しい。車重は軽いけれど、車高が低いおかげで安定感が高い。