国際テロなど重大犯罪を実行する前の計画、準備に加担した段階で処罰対象となる「共謀罪」の創設がさらに遅れようとしている。政府が来年1月4日召集の通常国会に共謀罪の関連法案を提出することに慎重なためだ。来年夏に参院選を控えた政治的判断もあるようだが、地球規模に拡散するテロリズムは、日本の法整備を待ってくれない。隙があれば、そこにつけ込んでくるのがテロだ。その脅威に対する認識は、むしろ国民の方が高いのではないかと疑いたくなる。
76%が「必要」
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が12、13両日に実施した合同世論調査では、81.3%が日本国内でテロが起きる可能性が高まっていると回答した。それを否定する回答は15.6%にとどまった。
また、「共謀罪」創設の是非についても尋ねたところ、賛成したのは76.7%にも上った一方で、反対は13.2%しかいなかった。数値に若干の隔たりはあるが、4~7日にかけて実施した時事通信の世論調査でも共謀罪の創設に「賛成」が52.5%となり、「反対」の24.0%を上回っている。
11月13日のパリ同時多発テロから1カ月しかたっておらず、国民の一時的な心理と解することもできなくないが、この国民の声を安倍晋三首相は率直に受け止めるべきであろう。