本作は、今や世界的な著名人となったアクリオが地元のスーパーで話しかけてきたファンらしき女性につっけんどんな態度をとり泣かせてしまうような一面にも触れる。礼賛一辺倒の「いい話」にしてしまわず、料理による故郷への恩返しを高らかに掲げ、公人として気高く生きようと決意・反省するアクリオの姿をそのまま映し出すスタンスが、むしろ人間臭くて好感が持てる。公開中の東京・シアター・イメージフォーラムほか、全国で順次公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)
■PATRICIA PEREZ 米ロサンゼルス生まれ。映画監督、プロデューサー。2014年「料理人ガストン・アクリオ 美食を超えたおいしい革命」が初の長編ドキュメンタリーとなる。他に11年の短編ドキュメンタリー「Mistura:The Power of Food」がある。