ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった北里大特別栄誉教授の大村智(おおむら・さとし)氏(80)は、高校教師を経て研究職に就く一方で、高校時代に熱中したクロスカントリースキーで国体に2度出場するスポーツマン。平成に入ってからは、自ら集めた美術品を展示する私設美術館を建設するなど、多彩な才能を示し続けてきた。集大成ともいえるノーベル賞の受賞に、周囲からも大きな祝福の声がわき上がった。
スキーで国体出場
大村氏は1935(昭和10)年、山梨県神山村(現韮崎市)で農家の長男として生まれた。父親は村の有力者。食糧には困らなかったが、家の手伝いは大変だった。「早朝に起こされて野良仕事。中学までに一通りの仕事をできるよう厳しくたたき込まれた」
小学3年のとき終戦を迎える。将来は農家を継ぐと考え「勉強は要らないな」と思っていた。両親も「勉強しなさい」とは言わなかったが、英語の勉強は熱心に勧めた。