2015.9.26 11:00
2人芝居「RED」。10月4日公演(加藤孝さん撮影、提供写真)【拡大】
米国の抽象表現主義の画家、マーク・ロスコの、「シーグラム壁画」をモチーフにした2人芝居「RED」。画家とアシスタントの師弟関係にある2人が魂の対峙(たいじ)をする。どす黒い血のような色の絵が圧倒的な存在感を持ち、2人がダイナミックに塗ることでエネルギーを放つ。演劇と美術が融合した変わった舞台だ。映画「ラスト・サムライ」の脚本を手がけたジョン・ローガン作、翻訳と演出は小川絵梨子。
1958年、ロスコ(田中哲司)はニューヨークの有名レストランに巨大な壁画を描く仕事で、画家志望のケン(小栗旬)を雇う。アトリエで、ロスコは芸術論をぶちまけてケンにつらく当たる。対立する2人は、いつしか絶妙のタイミングで作業を重ねていく。
「RED」は2人を結びつけるキーワードで、生卵やチョークも混ぜ合わせた絵の具の色であり、ケンの悲しい過去を映し出す血の色でもあり、ロスコの内面の葛藤を表す色でもある。奥底では通じあいながら、芸術を追求してがんじがらめになるロスコと、「たかが絵ではないか」とさばけたケンの関係は、世代交代の予兆も感じさせる。