一面を覆う泥と水。「まさか自分の家が…」。被災者は姿を変えた街を呆然と見詰めた。茨城県常総市の鬼怒川堤防決壊から丸1日が経過した11日、現場では孤立していた住民らの救助が進む一方、捜索は思うように進まない。「無事でいて」と不明者の安否を気遣う家族。東日本大震災の発生から4年半となった被災地でも宮城県で堤防が決壊し、濁流が住宅街を襲った。
自衛隊など救助急ぐ
茨城県常総市内では11日、折れ曲がった電柱や大きく壊れた民家、横倒しになって水没した乗用車が点在するなど、街には大きな爪痕が残されていた。
常総市新井木町地区一帯でも、茶色く濁った水が胸の高さまで覆い、自衛隊や海上保安庁のヘリコプターが逃げ遅れた住民の救助を急いだ。
地区にある「きぬ医師会病院」では10日深夜から水が押し寄せ、外来などのある1階部分は約1メートルほど浸水。入院患者や職員ら約100人は2階以上に避難し不安な一夜を過ごした。
病院関係者によると、救出が始まったのは11日午前8時ごろ。約700メートルほど離れた高台から、自衛隊員がボートで次々と患者を助け出した。