ロシアが北方領土問題解決を疎外する政策を導入しようとしている。
<ロシア政府が極東地域の振興策として、土地を国民向けに無償で分与する法案を準備し、北方領土にも適用する方向であることが3日までに分かった。法案は極東への移住促進を目的とし、来年1月から遊休地を希望者に1ヘクタールずつ分与する内容だ。安倍晋三政権はプーチン露大統領の年内訪日を目指しているが、北方四島が分与の対象とされた場合、現地での人口増加などを通じてロシアの実効支配が強まり、領土返還交渉に悪影響を与える可能性が出てくる。
法案は露極東連邦管区を構成する9つの自治体の議論に付されており、極東発展省が月内にも政府に提出する。上下両院が秋の会期で可決する可能性が高い。
同省は本紙に、「法案はロシア極東(全体)を対象としており、個別の地域に関する規定はない」と説明。極東連邦管区が事実上管轄する北方四島にも、無償の分与制度が適用されるとの認識を強く示唆した>(8月4日付「産経新聞」)
歯舞群島(はぼまいぐんとう)、色丹島(しこたんとう)、国後島(くなしりとう)、択捉島(えとろふとう)からなる北方四島が日露間の係争地であることは、2001年3月にプーチン大統領が署名したイルクーツク声明においても明示的に確認されている。それにもかかわらず、極東の他の地域と北方領土を同じ扱いにするというやり方は、日本に対して譲歩しないという姿勢を鮮明に示すものだ。