このようなニーズに応えるためプロジェクトでは、アフガニスタン西部ヘラート州で助産師、看護師など保健・医療従事者の育成と研修施設の建設、医療従事者を養成する州の保健科学院機関の運営サポートを実施している。政情が不安定なアフガニスタンに駐在することがかなわないため、日本から事業を管理しなければならない。アフガニスタンの現地スタッフと密に連絡をとりながら進めている。
≪命守る仕事 誇り持って続けていけるように≫
メーン事業の一つである保健・医療従事者の再養成プログラムでは、ヘラート市近郊のクリニックから一定基準を満たした女性たちを選出。首都カブールでさえ医療施設が不足しているアフガニスタンにおいて、地方の村で十分な保健・医療サービスを受けられることはほとんどない。このため、治るはずの病気で命を落とす人も多い。プログラムに応募してくる人の多くは、家族や親戚を亡くした人たちだ。
現地スタッフのミンディーはこう言う。「ある女性は、伝統的な方法で自宅出産してお産の途中で問題が起こって、その子を亡くしてしまった。そして子供を産めない体になってしまったの。自分のような人が二度と出てほしくないという思いで今、助産師のトレーニングに励んでいるわ」。無念や失望を乗り越えて、自分と同じような人たちの役に立とうとしている彼女の姿勢に頭が下がる。