NHKの報道番組「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題で、NHKの調査委員会(委員長・堂元光副会長)は28日、「過剰な演出」「誤解を与える編集」があったとする一方、捏造(ねつぞう)につながるやらせはなかったとする調査報告書を発表した。
番組を担当した大阪放送局記者を停職3カ月とするなど、関係者15人を懲戒処分。籾井勝人会長ら役員4人は報酬の一部を自主返納する。
堂元委員長は記者会見で「視聴者の期待に反する取材、制作が行われたことを誠に遺憾に思っている。心より深くおわびします」と謝罪した。
やらせが指摘されたのは、昨年5月放送の「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」など。番組内で詐欺に関わるブローカーとして匿名で紹介された大阪府内の男性(50)が「NHK記者の指示で架空の人物を演じた」と週刊誌で告発し、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に申し立てた。
調査委は(1)男性をブローカーと断定的に伝えた(2)ビルの一室を詐欺の「活動拠点」としたのは誤り(3)決定的シーンを撮ったように過剰に演出した(4)安易に匿名化した映像を使用-など、多くの問題点があったと認定。その上で「記者が意図的または故意に架空の場面を作り上げたとはいえない」として、やらせに当たらないと結論づけた。