「今日初めて新幹線に乗って金沢まで2時間半、大変快適な旅だった。駅は活気があふれていた」。安倍晋三首相(60)は11日、3月14日に開業したばかりの北陸新幹線に乗り込み、石川、福井両県で農業や中小企業など地方創生の先進事例を視察し、一連の日程を終えた後、福井県鯖江市内で記者団に、こう感想を述べた。
突然の視察
北陸新幹線の視察は、統一地方選の最中に政権が最重要課題とする地方創生をアピールするほか、今月26日からの訪米を前に日本の高い新幹線技術を自ら体感し、米国でのトップセールスに役立てる狙いがあった。米国では、JR東海が超電導リニア技術の売り込み、JR東日本がカリフォルニア州の高速鉄道計画への参画を目指している。
ただ、首相の本当の狙いは別のところにあった。北陸新幹線の金沢-福井間の延伸前倒しに向けた現地の状況を確認することだ。2023年春ごろに、金沢から福井県南西部の敦賀までの区間が開業する予定だが、福井県内では20年東京五輪までに手前の福井までの先行開業を求める声が高まっている。新幹線の終着駅となれば、海外からの観光客も含め経済効果が大きいからだ。