そんな状況を憂うミカさんは「番組を通じて、対応手話じゃなくて、ろう者の言語である日本手話を広げていくのも目標」と話す。「今はユーチューブだけの配信だけど、BSや地上波テレビでの放映も目指したい」。そんな、ミカさんが本当にやりたいことは映画監督。お気に入りの映画は小津安二郎作品。「ろう者の視点と似ているから、せりふがわからなくても映像に情報がたくさんあり、楽しめる」という。
一方、モンちゃんは、ろう者にもっと人生を楽しんでほしいからと、モンちゃんと旅する「モンキツアー」を企画したい、ろうの文化を発表できるスペースをつくりたい、子供向けの講演で全国行脚もしたいと、したいことがいっぱい。「垣根をとっぱらって、みなが集える場所をつくりたい」と燃えている。
すてきな話を教えてもらった。米国にあるマーサズ・ヴィンヤード島の話だ。遺伝により聞こえない人が多いこの島では、聞こえる人も聞こえない人もみなごくふつうに手話を使っているという。
聞こえる人と聞こえない人がいて、それぞれニーズがある。少数派のニーズは伝わりにくく、不自由を感じているとしたら理不尽だ。他にも、見えない人、歩けない人、働けない人…。「少数派の声にもっと耳を傾けようよ」。そんなことを彼女たちは明るく表現している。(女優、一般社団法人「Get in touch」代表 東ちづる/撮影:フォトグラファー 小野寺宏友/SANKEI EXPRESS)