会合では、今回の事件で課題となった政府の情報収集のあり方や、外務省が出す海外渡航者向けの「危険情報」の周知徹底に向けた具体策も検討することを確認した。出席した政府高官は「従来の取り組みでまだやれていないことがあるのではないか。まずはそこからだ」と強調した。
「イスラム国」パイプ
「イスラム国とコンタクトが取れる」「イスラム国に渡る用意もある」
後藤さんと湯川さんの殺害脅迫が公表された2日後の1月22日、東京都内の日本外国特派員協会で開かれた記者会見。その場でイスラム学者の男性が“交渉役”に名乗りを上げた。
元同志社大教授の中田考(こう)氏(54)。昨年、その存在がクローズアップされた人物だ。北海道大の男子学生がイスラム国の戦闘員に加わろうとシリア渡航を企てた事件で、支援者の一人として警視庁公安部の家宅捜索を受けていた。
「テロリストの要求をのむ必要はないが、パイプがないと話にならない」。中田氏は会見でそう指摘すると、日本、イスラム国双方が受け入れられる人質交渉の「ギリギリの選択」として、イスラム国に2億ドル相当の難民支援、人道支援を行う条件を提示した。