「イスラム国」(IS)に捕らえられているフリージャーナリスト、後藤健二氏の解放交渉が難航している。日本政府もヨルダン政府も全力を尽くしているが、イスラム国に誠実に交渉をする意図がないのが原因だ。
交渉は、双方でやりとりをしながら、それぞれの当事者が少しずつ譲歩し、合意点を見いださなくしてはまとまらない。イスラム国は、「テロ事件で収監されているサジダ・リシャウィ死刑囚を釈放せよ。そうすれば後藤健二氏を釈放する。リシャウィ死刑囚を釈放しなければ、後藤氏と(イスラム国が拘束している)ヨルダン軍のパイロット、モアズ・カサスベ中尉を殺害する」という恫喝を要求として出している。
王制への不満あおる
27日以来、ヨルダンの閣僚がカサスベ中尉とリシャウィ死刑囚の交換をテレビで呼びかけている。ヨルダンとイスラム国の交渉チャネルが不安定で、秘密交渉で行っている内容がイスラム国中枢部に到達していない可能性があるので、このようなマスメディアを通じた交渉をヨルダン政府は行わざるを得なくなっているのだろう。イスラム国は、譲歩を一切示さずに、最後通牒的に要求を突きつけている。