決め込む「世界の傍観者」
為政者と側近が軍を遠ざける異常は、軍の政治接近に比し格段に危ない。戦場での流血を画像を通し知る文民は、死と向かい合う軍人より凶暴になれるためだ。実際、ベトナムやイラクでの戦争(1960~75/2003~11年)では、文民が戦術・作戦領域に無制限関与し泥沼化を招く一要因を創った。文民統制下で、軍は文民が最終決定した戦に服従せねばならぬ。反面、軍が負け判定をシミュレートした戦にさえ、抗命は許されない。オバマ氏側近は政治浮揚策を強く意識する上、人権・人道守護と引き換えに無謀な戦争に突入したがる人物も認められ、「引きこもり軍略」が大きく逆ブレする観測も皆無ではない。
当然、戦略・政策決定権は政治の側。ただし、軍事的合理性や専門的知見を理解→吸収した策定であるべきで、作戦行動や部隊編成・規模などを軍が相当部分任う政⇔軍関係こそ健全だ。国外派遣に臨み、国際常識では自衛隊が決めるはずの細部まで国会で論ずるが、未成熟な民主体制を露呈している。