冬季のヨーロッパ各地で開催されている「6日間レース」。その名前のとおり、6日間にわたって開催される自転車レースで、室内競技場を使うトラック競技だ。選手たちは2人1組のペアを組み、連日、「マディソンレース」(2選手が交代しながら走り、規定周回の先着者に与えられるポイントの合計を競う)を中心に多くのトラック種目が開催される。選手たちはチームでポイントを稼いでいき、6日間の総獲得ポイントにより勝者が決まるルールになっている。
「6日間レース」の歴史は長く、その起源は1878年にロンドンで開催された1000マイル(約1609キロ)を6日間で走る個人レースだったとされている。1日の平均走行距離は約270キロ、過酷さを極めるレースであり、当時ヨーロッパではあまり人気がなかったという。
その後、「6日間レース」は海を渡り、1891年に米ニューヨークのマディソンスクエアガーデンで開催された。競技が各国に広がっていくことで、ルールは変化していき、個人の競技から、2人1組のペアで戦う競技となり、にぎやかなMCが会場を盛り上げる興行レースへと姿を変えていった。そしてアメリカからヨーロッパに再上陸し、ヨーロッパでもロードレースのオフシーズンに開催されることもあり、しだいに人気が高まっていった。