自民党が優勢なのは、野党に比べて全国各地に地方組織を築いている点も大きい。来年4月に統一地方選を控えているため、自民党執行部は衆院解散が決まる前から地方議員を引き締めていた。
安倍晋三首相(60)=自民党総裁=は、かねて「統一地方選で大きな勝利を得て、政権奪還を完成させたい」と語っていた。
これに対し、もともと地方組織が脆弱(ぜいじゃく)な民主党は、昨年7月の参院選でも惨敗し、党内の士気は下がるばかり。地方組織の立て直しはままならない状況だ。
経済的な視点も見逃せない。実質経済成長率が高くなると自民党は得票数を増やし、逆にマイナスになると民主党が躍進する傾向にある。アベノミクス開始以来、増え続けてきた実質GDP(国内総生産)は7~9月期で前年より5.7兆円減った。このままでは経済成長がマイナスになりかねないだけに、首相の戦略も透けてみえる。