ミュージシャンでタレントの矢野デイビットは、ガーナで教育支援などを行っている団体「Enije(エニジェ)」の代表でもある。日本人の父とガーナ人の母の間に生まれ、2つの国の「懸け橋になりたい」と活動する彼の思いを聞いた。
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ガーナ語の「Enije(エニジェ)」は、「楽しむ」「喜び」「幸福」という意味。なんてすてきな言葉だろう。デイビットは「Enije」の活動の核である教育支援について、「知恵をつけることで子供たちは自分を守ることができる。教育は可能性を広げる」と話してくれた。彼が「子供たちを守りたい」と強く望むのには理由がある。彼もまた時代や環境の中で困難を強いられてきた経験があるからだ。
デイビットは日本人の父とガーナ人の母の間に、3兄弟の次男としてガーナで生まれた。当時のガーナは政局が不安定で経済は最悪。治安が悪く、盗賊が外国人を襲うトラブルが続出していた。彼が6歳の時、家族はライフルをもった盗賊に襲われる。何とか家族の命は救われるも一夜にして多くのものを失った。「これ以上、ガーナで暮らすのは危険」と日本へ。しかし、ガーナ人の母親にとって日本での生活は容易でなかった。