政府は6月10日、産業競争力会議を開き、27日の閣議決定を目指す新成長戦略の骨子案を示した。日本企業の「稼ぐ力(収益力)」を強化し「成長の果実を国民の暮らしに反映させる」と表明。女性の活躍推進や企業の収益性や生産性を高める企業統治強化に積極的に取り組む方針を掲げた。政府与党間での調整が続く、農業や雇用、法人税の改革については、骨子案では具体策の明記は見送った。
安倍晋三首相(59)は会議で「日本経済が一変するとのメッセージを強力に打ち出していくためにも骨太な政策に絞り込んでまとめてほしい」と指示した。
骨子案では、新たに講じるべき政策を産業振興、市場の創造、国際展開の3分野に分けて具体的に挙げた。
産業振興では、企業統治を強化するため、独立した社外取締役の設置など上場企業向けの規則「コーポレートガバナンス・コード」の制定を求める。女性の活躍推進のため学童保育の拡充のほか、税制や社会保障制度の見直しも明記した。また、「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指すため、地域を絞って大胆な規制緩和を行う国家戦略特区の活用を盛り込んだ。エネルギーコストが企業活動を制約しないように、安全が確認された原子力発電所の再稼働も必要とした。